最適経路 ~Pt.1~「懐疑」

10月後半はず天気が悪かったし、仕事は深夜ばかりでVW EOSでのオープン・ドライブは
今のところほとんど楽しめていない。
そうは言っても普通に走っていても十分楽しい車だけど。

思った以上にエンジンパワーが中低速型で、高速の料金所からお金を払った後に
発車する時(何故かETCシステムのセットアップをディーラーが忘れているので後日行かないと)
流れに乗るためにそれなりに加速するものだが、アクセルを踏みすぎると、あっと言う間に
フロントタイヤがスピンしてしまう。VWのTSIターボはラグも殆ど無く低回転から過給
されるのでアクセルを踏み込むとかなり低い回転でも最大トルクに到達してしまう。
EOSの低中回転にピークのあるエンジンに慣れないといけない感じ。
DSGはCVTのように若干変速に癖はあるけど、変速が早くとても良いミッションなのでは
ないかと思う。強いて言えば減速が少し苦手な感じか。

それはさておき、取り敢えずEOSは今のところ外観や足回りは最初から完成されているので
特にこれというカスタマイズは考えていないのだけど、ナビが無いので何か付けようと。

僕は現在のナビの仕組にいささか疑問を持っている。特に高価な組み込みナビ辺りがそう。
MINIの頃はなるべくインダッシュで普段は目立たないナビを付けたくて、当時はHDDと
併売で比較的安価でも枯れていたDVDナビを導入した。この時見た目をそぐわないよう
オーディオユニットを専用マウントで下にずらした上で、空いた1DINのスペースに
StradaのDVDナビを綺麗に入れ込んでもらったのだが、その工賃だけでも10万近くかかって
結構滅入った。本体別だからね。

そこまで苦労した割に、その後数年で完全にDVDナビは廃れたし、そもそも僕が付けた
Stradaはナビとしてのルート迷走度が酷く、家の近所を走ってると最適経路に
車が走れない土手道を案内してしまう始末。どうやって土手にMINIで登ればいいんだと
何度ナビに向かって呟いてみても、「左へまがります」と答えるだけ。
これで完全にStradaアレルギーになった。

地図データは今でもDVDバージョンで更新されているので、何とかなるかも知れないが、
それも随分高いし、ネットやスマートフォンじゃいつでも最新の地図なんて見れるのに
随分非効率な話だな、と。特にスマートフォンならGPSとGoogleマップが有ればいくらでも
経路案内なんで出来るわけだから。勿論スポット検索だって最新だし。

その辺りのPCやインターネット(データ通信)つまりIT周辺との親和性の低さというのは何も
古いDVDナビだけに限ったことではなく、近年通常に利用されているビルトイン型の
HDDナビシステムにも言えると思う。この辺り実際はある程度意図したものと思われ
IT周辺との親和性を高めることによる価格崩壊や地図データの自由化といったような
事に対する危機感からカーナビの発売メーカーや地図ソフトの制作メーカーでわざと
IT周辺に近づかないようにしているとしか思えない。

ファームウェアや地図データの更新は既にPCと連携してるよという声も聞こえそうだが
僕が言いたいのはそんな話ではなくて、仮にナビシステムがデータ通信機能を伴った
OSベースで動かせたとしたら、いちいちビルトインシステムのHDDを外したり、SDカードで
データをやりとりするなんていう原始的な手法を用いなくても、いながらにして最新の地図
データやファームウェア(ソフト)の更新なんて他愛もないはずだし、データ通信を使って
ワンセグや地デジだけでなく、Youtubeや各種ストリーミング配信のような、オンデマンドな
メディアの享受だって今のテクノロジーなら簡単なはずだといつも思うのである。

実際PCやPDA用のナビソフトというのは2000年前後から発売されており、現在もそれなりに
熟成を重ねている。PDA向きのナビを開発しPDA専用のGPSユニットと共に販売している
『Grandmap Navi』は、モバイル端末用ナビとしては老舗で、ポータブルナビの普及が低かった
2000年前後はサイズも含めてPDAがバイクなどのナビゲーションにも向いているとの意見も
有ったので、そう言ったバイクでの利用や、ITやPDAに精通している一部のマニア間で
多少話題になった。僕もこのナビについて耳にしたのは8年ほど前にデータセンタで運用系の
仕事をしている時に仕事仲間と「PCとかと連携できるナビって無いものなのかな」
と言う話をしていたら、こんなのがあると教えてもらった記憶から始まっている。

ただ、この頃はあくまで『PDA』である、つまりPDAは自分自身で通信機能を有さない端末で
あり(無線LANもこの時代は余り付いてなかった)、ネットを利用したいならPHSのCFカードを
買う必要が有ったし、当然ながらGPSも内蔵されていなかった。Grandmap Navi自体は
地図のアプリケーションをPDAに入れて、それを専用のGPSユニットで位置判別していくという
仕組みで、これ自体は所謂「インターネット」を利用した、もしくは連携した仕組みとは
言えず、純粋にPDA上にナビのソフトをインストールして、それをGPSで動かすという
「ソフトナビ」と言えるようなものだと言える。また何よりも2000年前後のPDAでは
画面サイズや解像度等を踏まえると、まだまだPDAがカーナビに成り得るとは言い切れない
のが実情だっただろう。現在では車載を考えられたナビと言うのはポータブルでも最低
5インチ程度のモニタを有しているので、そう考えると3.5インチのiPhoneが主流の現在
でも若干小さめだし、WinMobileのIS02(Dynapocket)でも4.1インチ、間もなく発売予定の
Android端末であるDesire HDが4.3インチ、DellのStreakがやっと5インチである。
(逆にStreakは携帯電話と言うにはやや大きすぎる状態だが)
なので現実的にも4インチ以上の端末で無いとポータブルナビの代用品しては厳しいだろう。

それに対して近年ゼンリンからリリースされている『いつもNAVI』は一般的な携帯から
スマートフォン、PCまで幅広い端末で地図ソフト+ナビとして利用できる装丁で販売
されている。実際スマートフォンの通信機能(3G)や内蔵されているGPSを、近年4インチ、
5インチと大画面化されているスマートフォンの機能を利用してナビのように利用する
と言うのはほぼ可能になってきている。

実際当方で所有しているAUのWindows MobileスマートフォンであるIS02は『いつもNAVI』が
プリインストールされているので色々試してみたりしている。
この辺りの上位グレードで実現されている事は、自分がナビとITに対して思っていたことが
有る程度実現されてきていると感じている。例えば地図の情報は3G通信で都度取得され、
ここまで専用のビーコン受信機やFM通信が必要だったVICS(道路交通情報)も
渋滞情報として3G通信、つまりインターネットから引っ張ってくることが可能なのである。

そもそも携帯やスマートフォンのナビ機能はいつもNAVIやNAVITIMEのようなサービスに
よってITとぐっと近づいてきていると言えるだろう。NAVITIMEの方では上記を一歩進めて
3G通信機能を有する「カーナビ」と言えるものを発売している。
それが『カーナビタイム』である。これは本体価格以外に毎月525円の
通信定額料(3G通信代)が必要にはなるが、3G通信を利用したオンデマンドVICSや
地図更新などはもちろん提供された上で、GPSによる位置情報機能を有している、
ポータブルナビ等よりは一歩進化したITナビと言う事が出来るだろう。
当方も今回のナビはこれにしようかと最後まで迷った。

しかし、結局のところまだメーカー主導で、例えばGoogleマップとGPS連携と言うのは既に
モバイル端末ではiPhoneを始め普通に利用できるし、そこに渋滞情報を載せるくらい
そう難しいことではないと思えるし、もう少しAV機能としてTVが見れます、保存した動画が
再生できます以外の部分が充実できないのかとか、OSベースならもっと値ごろに高機能を
享受する事が可能なはずだとか色々考えてしまって理想の通りではない。
この辺りはカーナビの発売メーカーや地図製作会社の政治的な意図も見え隠れしている。

そうは言っても今回はスマートフォンを何が何でもナビにしてやるというのが意図ではなく
いつかそう言ったITも便利に使えるナビ向きタブレットみたいなのが出てほしいなと言う
事なので、それを待っていてもしょうがないので普通にナビを探してみようと言う事に。

ここまで長々書いたように、現在のカーナビの仕組みには疑問があるので、数年で
陳腐化が進むような組み込み式の高価なナビは興味が無かったし、買うのも大変だ。
だからって最初から低機能な組み込みナビなら余計に陳腐化が進むのが早まるだけ。
であるならば、現在設置が簡単で製品的にも熟成が進んで下手な組み込みナビより
多機能で値段も手ごろなポータブルナビを中心にリサーチを開始した。

ポータブルナビも値段がピンキリで、通販やネットで安く紹介されている物だと
2万を切るようなものから、最新の有名ブランドで大型モニタの多機能型だと10万前後の
物だって存在する。現在位置を示しながら地図で何処かに案内してもらうという
基本機能はどのナビだって結局同じなのだが、これだけ値段差やバリエーションが有ると
言う事は比較リサーチし甲斐が有ると言えば有りそうだ。

何も考えずに深夜番組を見ていたら、そこで紹介されていた安いポータブルナビで
十分なんじゃないかと考えてしまうが、思ったより奥は深かった。

またしても長いので続編で。

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