EOS Pt.2 ~既視感~

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フロントから見ているとあなたの好きなパワーパフガールズのようだと相方が
言ってたが(勿論萌え系リメイク版ではなく、オリジナル)
確かにそんな気もしてきた。僕の趣向にしてはクールな車にしたつもりなんだが。。
やっぱり人間ってのは既視感がそこかしこに残ってる方が安心なのかと。


EOSに乗り始めたが、中々良い車である。しかも想像以上にである。
とてもプレミアムなところが詰まっていて、でも他で見かけることもない。
見た目も当初もっとクールに映っていたが、むしろ意外にずんぐりもしているし、
クーペならではのシャープさもあるし、愛らしくも格好良いと思う。親馬鹿みたいだが。

そういう外見を持ちつつもユニットは質実剛健なゴルフ直系なのがまた出来が良い。
静粛でMINIのような派手さはないけど落ち着きのある機能美が散見する車内。
広さも4座オープンとしてはよく頑張っている。前席は最初からジェッタ程度の
スペースは確保されているので良いとして、後席はヘッドクリアランスこそさすがに
クーペなのでお世辞にも広いとは言えないけど、足元の広さはこのサイズとスタイルでは
特筆すべきである。運転席の後ろでも成人が問題なく足を収める空間がこのサイズから
捻出されているのは、大衆車で成功しているブランドだからこそだと思う。そして
TSIエンジンの小気味良い加速と太いトルク。GTIってなんでそんなに人気あるのと
思っていたけど、良く分かった。初めてMINIの束縛から解けて色々吸収出来る。
勿論MINIだって良い所は沢山あるけど、今は新しいパートナーを素直に可愛がりたい。

そんな車なのにニッチなのがまた気分が良い。実質的な競合車がいようが
そのマイノリティさで比較対象がいないと思えるようなオンリーワンさもオーナーには
たまらないと思う。他の4座オープンに比べて売れなかった要素が見つからない。
それくらいこの車には感心した。中古って言うのもネガティブな響きではなく
出会うべくして出会った特別な一台なんじゃないかと、身勝手なポジティブさを
持っている僕にはそう思える。その辺りの話はまた後ほど。

探していた頃の話に戻るが、Cセグメントの4座オープンカーを3種リストアップして
その中でも性能や特化している部分の違いについては書いた。これが思う以上に
メーカーやその車種のコンセプトの違いが出ていて面白いのだが、
逆にサイズに関しては見事なまでに近似値で、全長は全て4.5m以下、全幅は1.8m以下。
これは僕が条件の一つにしていた部分で、特に全幅が1.8mを超えると日本では
扱いづらくなるので気にしていたが、三車種とも大きさは殆ど変わらない。
所謂Cセグメントの大きめな部類だが、クーペの3BOXスタイルなので良しとする。

車重も全て1.5t前後で同じくらいなのだが、ここが性能との兼ね合いにおいて重要な部分で
オープンカーは重いのである。ソフトトップなんて一見セダンの屋根を削ったように
見えるから軽くなりそうに感じる向きも居るかも知れないが、先ず、その可動ユニット
自体が重くなりやすい(メガーヌのグラスルーフはそれだけで80kg近くもある)上、
ボディというのは上を切り取ると、著しくボディ剛性が低下するのである。
その補強分も重量がかさむ。

例えば、箱ティッシュの空箱が有るとして、それをねじ曲げるのは意外に力がいるが、
もし、天面を切り取って同じことをしようと思ったら簡単にねじれて潰れるだろう。
それと同じ現象が車でも起きてしまうので、切り取った天面の縁を固く重い金属で増強
したりと、オープンカーはとにかく見た目より重くなりがちなのである。

それを鑑みると、メガーヌの133psという馬力は、昨今の2Lにしてはやや非力である。
例えば今まで乗っていたMINIクーパーコンバーチブルは、別段パワフルなエンジンでは
無かったが、そもそも重量が1.2tとオープンの外車にしては軽めで、エンジンも1.6Lながら
122psも有るのである。正直10馬力程度の差を明確に見出すのは難しいだろう。
軽い車重で122psならその力でしっかり車体を引っ張ってくれる。逆に1.5tも有りながら
対して変わらない馬力のメガーヌはレビューなどでも、ちょっと非力すぎるという評が
見受けられていたのである。2LのDOHCでそれはちょっと不安要素である。

日本ではピンと来ないかも知れないが、ルノー・メガーヌのハッチバックは、今や
欧州ではゴルフよりも販売数が多いCセグメントでトップクラスの人気車種である。
その多くはシルキーながらも柔ら過ぎないという、硬さが前に出るドイツ車よりも柔軟な
足回りが人気の一つだそうである。それだけ足回りにこだわってるのにこのユニットは
何だか勿体無い感じがする。4速ATというのも少し古臭いし。DSGみたいに異様に凝った
ミッションは要らないけど、6速ATとかCVTくらいは付けて欲しかったところである。

この時点でメガーヌは落選、既に新車も無く、試乗も行ないたかったが、実物を
中古で探すのも一苦労で、そういった中古は中々試乗できないのでスペックの不安感が
拭えず断念となった。スペックが全てじゃないけど、MINIの方が軽快だったという
気分をこれから何年間も味わうのは嫌だったので。

何となく心では一度は乗りたいと思ってるフランス車を手にすることは今回も叶わなかった。

BMW120iは当初4座オープンに乗るなら一番欲しかった車種の一つ。
ちょうど今まで乗っていたMINIのお兄さん分に当たるのが1シリーズとも言えるし
実際見に行ってみると、ソフトトップの構造やオープンカーとしてのインテリアの
作りは共通点も結構見受けられた。特に後席のスタイルはMINIと良く似ていた。
MINIのソフトトップは凝った仕組の割に丈夫で壊れたりしたことは一度も無かったので
構造的にも安心出来る。但し120iの場合、MINIで実現されていたソフトトップ・サンルーフ
機能は無いのがかなり残念、天面が少し開く機能って喫煙者には大変有用なのである。
それにいつでもオープンって気になれない時、これが有難いのである。

とは言ってもメガーヌだって上だけ開くというアクションは無いし、
まぁ何から何まで思い通りになるわけではないのでその辺りは良いとして、
気になった点は標準装備の部分。必須とは言わないがレザーシートはオプションで
恐らく付けるだけで30万位するだろう。レザーシートが付いてなきゃ買わないなんて
セレブぶるつもりもないが、イオスとメガーヌで標準装備なのにそれより定価の高い
120iは数十万のオプション扱いかと。それ以上にオープンカーには重要な機能である
シートヒーターも120iのみオプション扱い。装備の水準をイオスやメガーヌと合わせる
だけで迷わず500万台が間近になってしまう。この辺りのオプションはレザーシートと
シートヒータを合わせた"High-Line"パッケージと、BMWお得意のスポーツパッケージ
"M-Sport"パッケージの2種類があるのだけど、どちらも約30万、M-Sportは結構色々な
オプションがてんこ盛りなのだが、シートヒータやレザーシートは組み込めないとか
何だか悩ましい仕様なのである。

エンジンはNAながらも2L DOHCで170psと、僕には十分なスペックだし、BMWの直4は
回せば応えてくれるエンジンだろう。元々ターボなどは一部の仕様のみでNAが基本の
ラインナップなのがBMWなのでその辺りは余り気にする必要も僕には無い。

しかし、ただでなくても定価が一番高い上、オプションなどを欲張ると非常に
高価な車になってしまう。他の車種と同じようで高くつくのが120iカブリオレで
そういう所はネームバリューなのかな、日本人はBMW好きだから。中古も高い。
地元のディーラーで見た中古は値段も高いし、色も出来れば今回は選択肢に
入れたくない薄めのブルー系。中古だから希望を言ったらきりがないけど、
青系だけは当方としては避けたい色で。120iなら白、黒、ゴールド系が欲しい。

やはりエントリーラインとは言ってもやっぱりBMWだから全国の中古を視野に
いれて探し初めていたが、同時にEOSも探してみることにした。

EOSはVW本体に取っては現行車種で、北米や欧州では現在でも販売しているが、
日本では一部のオープンカーマニアの間では話題になったものの、車種名の
知名度の低さも相まってか、人気は芳しく無かったようで昨年途中にて
販売を終了してしまった。前にも書いたが、VWというのはそういう所がシビアで
国別にかなり販売するラインナップを分けるし、車種名も変えることが多い。

例えばゴルフのワゴンであるゴルフ・ヴァリアントであるが、日本やドイツ、
UKではゴルフ・ヴァリアント(UKではGolf Estate)、つまりゴルフ・ファミリーの
一員として販売されているが、ゴルフよりジェッタの方が人気のある北米では
"Jetta Sports Wagon"として販売されている。ミニバンのトゥアランもドイツでは
"トゥアラン"が車名(ゴルフという名前は付かない)なのだが、日本ではゴルフの知名度が
高いため、ゴルフ・トゥアランと言う車名で販売されている。このように戦略的なので、
売れなければローカルのカタログからすぐに姿を消してしまうことが有るのだ。
シロッコなんかも不安な車種であるが。

日本ではゴルフとポロ、そしてニュービートルが抜きん出ているので逆にそのイメージに
縛られているのか近年ではその他の車種で苦戦を強いられているようである。

EOSは名前からして日本では受け入れづらかったのではないだろうか。
まず、イオスと聞いてなんと想像するかというと、デジタルカメラだろう。
キャノンEOSはデジカメ黎明期から存在しているカメラのはずで、名前から
車というイメージを想像しづらい。かと言ってゴルフやジェッタとは完全に
ベースが同じではなく、実際はゴルフとその上位車種であるパサートの間の子
としてイオスは作られたようなのでゴルフブランドに組み込むのも難しかったようである。

それはともかく、イオスはGTIと同エンジンの2.0TSIとこちらもゴルフR32と同じエンジンの
V6 3.2の二種類が存在していた。あのサイズで3.2Lとか普通じゃないエンジンの車だと
燃費もやばそうだし、大きくないくせに税金も高いので3.2Lは僕には要らないかと。
しかし、そんなのを選んでいる余裕が無いくらい中古では玉が少なめ。
イオスならどうしても黒系が欲しかったので色を絞るだけで更に選択肢は狭まる。
だから取り敢えずグレードは問わないが、出来れば2Lの方で。2LでもGTIのエンジンだ、
200psを超えるその性能が不満になることは有り得ない。3.2LでFFだとフロントヘビーに
なり過ぎるような気もするし。

最初に探した近所で家と同じ多摩堤通り沿いに有るVWの認定中古車センターでは
見つからず、系列(東京)の店に有るか探してもらったが3.2Lのみ1台だけ見つかった。
しかし、見に行く間もなくその日のうちに売約、タッチの差で遅かった。

その後ちょっとしたつてでVWでもトヨタ系列であるDUO小山に一台だけ試乗車だった
在庫があるとの事。小山と聞いて、武蔵小山か何かと思った自分が甘かったのだが
良く聞いたらそれは栃木の小山だと聞いて愕然としたが、来てくれれば現物試乗も
させてくれるとの事だったので、湘南新宿ラインに乗って旅へ出発。

そして辿り着いたDUO小山は栃木トヨペットと併設されており、ドア・ツー・ドアで
2時間あまりの道中の果て、お目当てのイオスと対面した。これが今回そのまま
僕が手にすることなるイオスだった。DUOはトヨタと販売提携している実質トヨタの
VW販売網で、そのネットワークは勿論全国に拡がっていて都内にも存在するのだが、
イオスの認定中古車というのはそもそもの販売数も少ないので玉数も極めて少ない。
その上で今回のようにせめて色は黒が欲しいとなると、ものは限られる。
自分でVW認定中古の検索で探すと、有るにはあっても浜松であるとか、広島だとか
ちょっと状態を見るまで分からないのにそこまで遠出できるのかといえば厳しい。
中古車を見ないで買うというのはさすがに有り得ない。そういう意味では栃木が
行ける限界点で、本当に良い中古車、しかもレア車種に出会いたいならこの位は
致し方ないということか。とは言っても車探しにここまで遠出したのは初めてだけど。

実際出会ったイオスは自分の探していた色と内装、エンジングレードを全て
満たしており、程度も試乗車落ちで10000km未満と願ったり叶ったりの状態だった。
実質のオーナーがいない試乗車は距離はそこそこ行っていても、車内にオーナーの
生活感などが残らないので一番当たると嬉しい玉である。

何よりも出会ったとき、何となくこの車が自分の新しいパートナーになって
くれそうにしているような気がした。勝手な想いではあるのだけど。
そういや最初のクラシック・ミニを見つけた時もそう思ったのを記憶している。

栃木DUO小山の店員さんたちも、余りトーク上手とは言いがたいのだけど、
遠方から見に来た僕のために色々サービスを提案してくれたので即決した。
まぁ正直いうとDUO小山では一台も新車で売ってる頃でもEOSは捌くことが出来ず
試乗車だけ寂しく残っていたというのが実情のようだったけど、それも運命と思えば。
納車の時も「EOSを届けるのは最初で最後になりそうです」って営業の人言ってたし。

結局リサーチでは散々色んなデータを集めたけど、EOSに出会ったらあっと言う間だった。
きっと今回はMINIで唯一うんざりしていた部分、「どこでも見かけ大変人気がある」
そこから一度抜け出したかったんだろうと感じた。120iカブリオレもBMW1シリーズ中
ではレアなモデルだし、1シリーズは国内だとほとんどハッチバックなので良い玉に
当たったら前回書いた思い出も含めて悩んだかも知れないけど。

ミニバン全盛時代に2ドアやクーペスタイルに拘るだけでなく、カブリオレまでと
欲張ったし、それで最低限4座オープンとしての移住性はMINIコンバーチブル以上
走行性能も有れば尚良と、中々無いものねだりな欲求を全て満たしてくれたイオス
との出会いに感謝しつつこれから色々楽しんでいこうかと思う。

ひとつだけ気がかりなのは、納車された辺りから一気に秋が深まるどころかそれを
通し越して冬のような寒い日が続いていることと、天候もずっと悪くてとてもオープンに
して走れるような日が無いことである。ま、ハードトップなので雨の日はただのクーペだと
思えば良いし、ガラス・サンルーフは付いているので雨の日でも天空を覗く事は出来るが。。

車種の束縛から逃れたら、手前味噌だが得意のリサーチ精神がフル回転して
楽しかったし、自分にとって最良のパートナーを見つけられたと思う。

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長い付き合いをどうぞ宜しく。

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