品定~Pt.5~「基点」

車の話に短期集中している内に35歳になってしまった。
もうこの歳になると特にめでたい催しも無く、ただ時間が過ぎる。
まぁ元々余り誕生日のイベントというのが好きではないので。

結局ジェッタのようなセダン車は既に終息の方向に向かっているし
興味本位で見たシロッコは家族の賛同を得ることも出来なさそうで、
当初の通りハッチバックでそこそこのサイズと性能という路線に
落ち着きつつあった。だから車種もうちらとしては妥当な
ゴルフGTIとMINIクーパーSクラブマンということに。

Audi A3もグレード次第でほぼ同じレンジに入ってくるのだが
2003年から今まで販売が続いており、どう考えてもそう遠くないうちに
モデルチェンジが待っているはずである。そしてA3はシャーシの部分を
VWゴルフのそれがそのまま供給されているので、だったらそこまでしてAudiで
ある必要が有るのかと。しかもそのベースは1世代前のゴルフである。

Audiも素敵だけれど、どうもCセグメントへの気合は余り感じない。
VWはこのセグメントこそゴルフがいる主戦場だから言わずもがなだし、
BMWの1シリーズっていうのは今までBMWはコンパクトサイズを作れないと
言われてきたものに対する強烈な回答だったわけで、それはある意味弟分の
MINIもそういう訳である。1シリーズのクーペは70年代の名車2002シリーズへの
セルフオマージュと明言しているくらいだからやっつけでは無いのである。
それに比べてAudiはどう考えてもA4以上に重きを置いている。

ドイツ車寄りなのにメルセデスの名前が全く出てこないが、基本的に
メルセデスの日本での好まれ方というのが好きではないし、やっぱり
上位クラスこそがメルセデスって感じで、ハッチバックの家族向き
って言うのは190Eの昔から個人的には違和感を感じてしまう。

また、メルセデスのAクラスやBクラスが、ハッチバックというよりは
ミニバン的というか、トールワゴンに近いデザインなのも理由だろう。
せっかく若々しいはずのハッチバック・スタイルとは異なってしまう。
どちらにしても僕のような身分で偉そうにメルセデスに関して論ずる
つもりは無いのだけど、選択肢には無いということで。

既にここまでの流れでも明確だが、最初は色々な国の車をリサーチ
してみたが、最終的に今回はメルセデスを除いた"ドイツ御三家"から。
僕はやっぱり保守的な人間なのか、なかなかフランス車とイタリア車を
未だに信じることが出来ないようである。だからドイツ車が壊れないなんて
事は全くないのだが、5年乗って勝手知ったる部分はあるので。

でも色々見てきて一番感じたのは、どんな広い車でも僕がMINIコンバーチブルで
享受してきた"開放感"は何処にも無いということである。
昔のオープンカーは手動だったり作業が煩雑で、購入しても実際は余り開けなかったという
顛末が有ったりしたようだが、MINIの、そして現代のそれというのは見た目以上に快適。
ボタン一つで10数秒、あっと言う間にフルオープンである。

オープンカーは乗ったことが無い人だと、何処かおっくうで実用性も低いのではと
思われがちだが、東京くらいの気候であれば、春秋は言うまでもなく心地よいし
夏は昼はさすがにしんどくても夜中なんかはクーラーで体が疲れたときには
ちょうど良かったり(今年は酷暑でさすがに暑すぎたが)、冬も足元への暖房と
シートヒーターで頭寒足熱的な感じのドライブを楽しむことが出来たりする。
これが実用的かは議論の余地があるだろうが、バイクと違った意味で気軽に
開放感を楽しめるという点でとっても心地良いのである。僕も
「MINIでオープンがあるなら欲張って乗ってみよう」
くらいの気持ちでコンバーチブルにしたのだが、ここまで病みつきになるとは
思いもしなかった。僕なんか能動的に日焼けをしようというタイプではないし、
実際未だに色白であるが、何も快晴の昼間に楽しむだけがオープンではないのである。

昨今のオープンカーは雨がふっても扉自体を開けないのであれば
雨中のドライブも別段通常車と変わることも無かった。ドアの桟が明確にないので
開けると縁から雨が流れやすいという欠点はあるが、雨漏りするという類ではない。

そんな訳で子供云々はまだ大きくなるにも限りが有るわけだから、一度原点に戻って
単純にハッチバックだけでなく、4座のオープンカーも見てみようということに。
4座のオープンカーは多くないがいくらか種類が有るものである。

ただし、調べてみると意外に生産が終わっていたり、日本での販売が打ち切られていたりと
思うような現存する車種に巡り会えない。最初にフランス車を除外しておいてなんだが
ルノー・メガーヌのグラスルーフ・カブリオレは興味があったが既に日本の流通から
消えてるし、プジョー308CCはどうもスタイルが僕の好みと違う。
VWイオスも前回書いたとおり日本の販売は昨年終了している。

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BMW 120iカブリオレ
1シリーズもハッチバックとクーペだとその外観はまるで違う車のよう。
やはりトランクが伸びていたほうがBMWならではのサイドの美しいラインが強調される。
なによりハードトップ全盛の時代にソフトトップなのが良い。閉まっててもオープンカーで
有ることを主張するソフトトップはそれが好きなものには逆に良かったりする。


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Renautメガーヌ グラスルーフ・カブリオレ
ハードトップ時の滑らかなシルエットとそれを覆うグラスルーフが美しい。
これはBMWと逆にハードトップならでは。ルノーのフロントフェイスって改めて
見るとやっぱり日産と共通点がある。もちろんルノー傘下になってからの日産の話。
そのフロントフェイスも垢抜け過ぎずに古典的な欧州車っぽくて悪くない。


昔はオープンといえばSAABって言うのも高級感が有ったが、SAABはボルボと対照的に
GMの倒産に巻き込まれて日本でも本当に見かけることが少なくなってしまった。
ボルボと共にスウェーデンが産んだ名車だったんだけど。ボルボも中国の傘下だし。

前回紹介したVWイオスも、メガーヌと同じで現行車なのに既に日本流通から去っている。
一時期国産でもソアラ(現Lexus SC430)や軽だがダイハツコペンで大きな話題を
さらった所謂ハードトップ型オープンカーだが、やはり購入となるとそうそう
複数台持てない日本の事情や、折からのミニバン、トールワゴン全盛の最中、
4座だからって今更広くない車は要らないよって事なんだろう。

日本って技術は高度なのだがどうも近年はそれが高じて文化が
ガラパゴス化しやすいようで、明らかに10数年前には存在しなかった
「デカくて大きな1BOXにエアロ付けてエンジンもチューンアップして」みたいな
ミニバンがセレブなんですみたいな文化が定着しつつ有るわけで。

これは昔はクラウンやセドリックに乗っているお父さんは立派だというような価値観から
大きくシフトしている部分だったりするわけだ。僕は保守的なのか、クラウンやセドリック
(今様に言えばレクサスやフーガ)の方がやはりお父さんの高級車で有って欲しいと思う。

話が逸れてる気もするけど、改めて今度は4座のオープンカーをリストアップしてみようと
考えると、現行車では予算も車種も限られてるので、中古も見たほうが良さそうである。
しかし、元々玉数も多く無いので程度と希望に近い品がどれだけあるのだろうかと。
運良くドンピシャで見つかれば、これ以上無い良い買い物になるけど、こればかりは
運なので何となく探していても競争のような気持ちになり擦り減らすものがあって
落ち着かない。それが楽しいという人もいるようだけれど。
でも中古なら多少古い型だと、本来買えるグレードの一つくらい上まで狙える場合も
あるので選択肢が広がるって言う点では楽しいのかも。

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BMW 330ci Cabriolet M-Sports [E46]
取り敢えず4座オープンの代表格といえば3シリーズのカブリオレかと。
1世代前のE46(2005年まで)は完成度も高かったし、未だにぱっと見ても古臭くないので
人気が高い。非ディーラー系で2002年モデル、40000Kmで250万前後。だいぶこなれてる。
現モデルカブリオレを新車だともう1000万が見えてくるモデルなので値頃感はある。


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Peugeot306 Cabriolet
プジョーのみならず4座オープンカー史上最も美しいオープンシルエットを持つと
誉れ高かった306カブリオレ。現在308だから2世代前、2001年で生産を終えている
古めのモデルだが、確かに今見ても美しく、307以降鋭角的になって失われたコンサバな
欧州車のシルエットがここには変わらずに存在する。さすがに2001年で生産が終わってるので
新しい玉は存在しない分値段も100万中盤でそこそこのが手に入る。ただしかなり少なめ。
フェラーリなどで有名なピニンファリーナがデザインを手がけた。


2000年代前後のデザインもこう見てみると今ほどファットではなく、まだ繊細さが
残っていて良いなと思う。特に306カブリオレのデザインは当時話題になっていて
その頃車にさほど興味が無いというか、買うことすら夢のまた夢だった20代中盤の
自分にとっては「オープンカーかぁ、何だか現実味の無い車だなぁ」と思っていたのを
思い出す。306カブリオレでみられるような、開いた幌が後ろに乗っかるのではなく、
完全にボディ内に収納してしまうようなデザインは当時斬新で、フラットで繊細な
そのシルエットは現在でも高く評価されている。306系はイタリアのピニンファリーナが
デザインしたことで、フランス車というよりもイタリアっぽい雰囲気が強いのも特徴。

しかし、仮にこの辺りのモデルまで遡って購入した場合、2005年製のMINIコンバーチブルを
売った意義というのは薄れてしまうどころか、それより古い車を非ディーラーから
中古で買うというのは、逆に余分なメンテの心配がかさむだけという事になる。。
きっと自分が乗っていたMINIより故障が増えるに決まってる。中古なわけだし、
なにより外車の当たり外れは中々馬鹿に出来ないところだ。

そう思うと、3シリーズにせよプジョー306にせよ、僕が乗っていたMINIより古い世代の
中古を新車を手放してまで買うというのはいささか本末転倒である。

なのでオープンカーを値ごろかつ程度(高年式)良く買うのであれば、現行のモデルや近年の
絶版モデル(例えばルノー・メガーヌとか)位までが基準にはなりそうである。

オープンになると一気に方向性が変わってしまうので、余計とりとめも無くなる。
但し今回のリサーチというのは自動車の"現在"というのが良くわかったので収穫があった。

VWの車ってなんで長年浮き沈みが少ないのかというと、必ずそのセグメントの基本性能は
すべて抑えた上で値段設定も無駄に高くしないし、オプションやグレード次第では
十分ラグジュアリーになる。更にヴァリアントみたいなステーションワゴンも単に車の後ろ
伸ばしましたみたいのではなく同競合の中では常に1,2を争う仕上がりなのである。じゃあ
単にエンジン良くて広くてバリューなんですねとかではなくて、ヒートシーターとか
レザーシートだって用意されてると。

趣旨は異なるが、サイズでは一つ下のクーパーSクラブマンを仮にカスタマイズして
あれやこれや付けてしまうと、ゴルフGTIにレザーシートを付けたくらいの値段と
あっと言う間に同じくらいになってしまうのである。もちろんMINIの魅力はサイズや
エンジンだけでは語れない自分だけのプレミアム感は有るのだけど、実質的には
ポロサイズでエンジンも400cc以上下なのに価格バランスはそう変わらないと。
そういうのは色々調べてみないと分からないものである。外車だから全てが高価
という訳ではなくて、値段に対する考え方というのはメーカーで異なるのである。

MINIみたいな振り切ったバランス感ってハマれば言うこと無いのだけど
ゴルフや1シリーズ辺りの中庸なバランス感って一番難しいことなのである。
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VW Golf Variant 2.0TSI
ゴルフのワゴンであるヴァリアント。今回選択肢からワゴンを外していたので
意識していなかったが、トータルバランスでは通常のゴルフより良い気が。。
何よりも高級感がゴルフよりぐっと上がるような気がする。
これぞ「欧州ステーションワゴン」って感じ。昔プリメーラやレガシィが目指した路線って
こういう雰囲気なんだろうなって思ったりもする。


乗換の契機になったのが、「広いけど大きすぎない程良い車」からスタートしたので
そういった向きのベンチマークであるゴルフから見ていったけど、このセグメントは
車種もタイプもバラエティに富んでいて面白い。家族でも十分のれるハッチバックや
ワゴンも、今や少なくなりつつ有るセダンやクーペも、もちろんオープンカーも存在する。

それを相対的に色々見てみることで、改めて今の車の価値観についても知ることができた。
予算の理由が大きいとは言え、敢えて枠を決めると逆にその中で一番良い車って
何だろうという、そんな探し方も車を決め打ちするのと違った楽しさがあるなって思う。

これだけリサーチして、ああだこうだとごたくを並べておいてなんだが、
普通や中庸の中でも、異端や独創性ってのは見つけることが出来るわけで、
後は乗り手次第でその車を魅力的になるよう可愛がってあげれば良いのだ。

そんな訳で、怒涛のように続いた品定めシリーズはこれにて。
まぁ、何か買わないと不便なのでまた買った車の話も出てくるかもだけど。

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