品定~Pt.1~

もうこのブログも最初の投稿から間もなく5年の年月が流れようとしている。

もちろんその間にブログの体裁自体を変えたり、移動したり、しばらく
更新のない時期もあったりしたのだけれど、短くは無い時間である。

一番最初に書いたブログの記事は2005年12月21日、当初音楽の簡単な独自批評を
書こうと思ってやりはじめたのがきっかけなので、トッド・ラングレンの
「ハロー・イッツ・ミー」について触れている。

http://blog.cafebleu.me.uk/article/151619653.html

この曲は僕にとって彼のベスト・トラックで、同時代でこれより評価の高い
「アイ・ソー・ザ・ライト」を個人的には遥かにしのぐ完璧な
"ブルー・アイド・ソウル・ポップ"だと理解している。
この曲が無かったらトッドは好きになりきれなかっただろう。
そういうディープではない、普通のトッド・ファンで有ると言うステートメントから
このブログはスタートしているのだなと。

この時期音楽を中心にしたブログを始めようと思ったきっかけはSNSみたいな
レスポンスを貰うことを意図とした日記の書き方から何となく逃れたかったのと、
車を買い替えて、毎日通勤に利用していたので、自分のBGMを探すのが楽しかったんだと思う。

僕は自分で言うのも何だが明らかにモッズの影響が色濃い人間で、それは単なるサラリーマン
になった今でも心の底とスタイルのそこはかとした部分で継続中である。
既に自分のアイデンティティと言っても良い。

だから自動車と言うのもずいぶん昔から買う車は心に決めていた。間違いなく10代中盤には
MINIかシトロエン2CVかルノー5しか目に無かった。もちろんこの時代にBMWがリメイクした
ニューMINIは存在していないのですべてクラシック・ラインだ。
僕はそういうところは基本ぶれない。

どれも性能を度外視した車として考えれば、美しいデザインの全てが詰まっている名車で
あったが、僕にはやはり「モダニスト」と言う強迫観念があるからMINIに対する想いは
20代半ばになっても全く衰えることは無かった。

大人になってからも、家庭的理由や単に自分が音楽に向かいすぎて
金もまるっきり無かったので車を買うなんて夢のまた夢でしか無かったけど、
ITネットワークの仕事をやるようになって、取り敢えず
定収入を得れるようになり最初に適った夢がMINIを購入できたことだった。

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僕の初代MINI、通称「白ミニ」。最終モデルのMayfairがベースになっている。

既にこれを購入した時はBMWがリメイクしたニューMINIがリリースされ巷を
賑わせていた頃で、当然新車も存在しないし、そもそもそんなお金は
無かったので程度の良い中古で。

明るいベージュの内装に、本物のウッドパネル、何処をとっても美しい車だった。
外装はクラシカルな鉄ホイルにキャップ、フェンダーミラー、メッキパーツをあしらって
気分は60年代と言う感じである。特にMK-1仕様みたいな大改造はしなかったけど
十分に個人的には満足な外観に仕上げて悦に入っていた。敢えてハンドルはMINI定番の
MOMOじゃなくてナルディのウッドを大きめで。非パワステ車にウッドハンドルは大変だけど
見た目で勝負したかったので。

でもね、やっぱり運転すると大変、ハンドル重い、窓は手動、クラッチも重い、狭い、
エンジンうるさい、高速乗ると心底疲れる、っていうか普段から小さすぎて走ってて怖い。。

これに乗り始めたころ、特に友人の女の子が皆可愛いから乗せてくれとせがまれ、
実際ドライブに連れていくと、その乗り心地と小ささと車高の低さからくるトラックが
通る時の恐怖からだんだん言葉少なになり、MINIに乗りたいと言わなくなるパターンが
良く有った。この車は日産のフィガロやパオのようなクラシック風味ではなくて
本当のクラシックであることを思い知らされるのである。

街で目を引く真っ白な白ミニも乗ってるほうは一苦労って感じで。
いたずらされてライトも割られたし。。。

それでもまじめに働けばこつこつと小さな夢は叶うんだなと思った意味では
とても大きかった。でも、当時通勤自体が車だった自分にとってこれが
だんだん苦痛になってきたのも事実。

そもそもこの時点で僕は所謂現代の車を所有したことが無くって、新しい車がどれほどに
快適なのかもとうに忘れていた。だからちょっと浦島太郎になりつつあったのかも。

あと、最初全く興味を惹かれなかったニューMINIが気になるようなったのは2004年末頃
発売されたMINIのオープンバージョン、MINIコンバーチブルが出てからである。

何故だか僕はコンバーチブルのMINIから「タイト感と解放感」の両方を得れる
都合のよい車と言う感じがして、それは僕の理想を満たしてくれるのではないかと思った。

しかし、MINIでもコンバーチブルなんて、最近のオープンカー事情と言うのはどういう
ものなのだろうと思いだしてリサーチをしたくなってきた。それが実は買い替えのきっかけで
純粋にニューMINIを欲しいということよりも、オープンカーへの興味から始まっていたのだ、
思い返してみれば。だから今のオープンカー好きが有るのだね。物事には筋道がある。

と言う訳でMINIに近いサイズ感で自分なりに興味を惹いたオープンカーを次々見に行った。
リストアップしたのは以下の車である。

VWニュービートル・カブリオレ
プジョー206CC(ハードトップ)
マツダ・ロードスター
アウディTT
BMW Z4
MINIクーパー・コンバーチブル

この内BMWのZ4とアウディTTは新車価格ではとても手が出ない価格帯なので
買うことが目的ではなくて、そのコンパクトなプレミアムカーには何が
詰まっているのだろうという興味本位で。

一番最初に見たのは意外にもにもビートル・カブリオレ、ちょうど
ビッグマイナーチェンジ後だったのでカブリオレも可愛いカラーや幌の
ラインアップが一番充実していた。

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これこれ、この色が欲しかったのを思い出す。
水色にベージュの幌なら洒落たソフトトップの定番系


デザイン重視で後ろの頭ぶつかるとか、無理やりゴルフのシャーシにRRスタイルの
リメイクボディを乗せたからダッシュボードの天板が異常なほど長いとか、丸過ぎて
見切りが全く悪いとか、結構この時点で不評も多かったニュービートルだが、
浦島太郎状態の僕にはそれは余り深くは感じず、試乗した時の余りの滑らかさに
絶句してしまって、最初は他はもういいから今回はニュービートルにしようかとすら
思ったくらいであった。僕には現代の車の性能を冷静に見極める能力がこの時点では
皆無だったのである。

そうは言っても少しも安い買い物ではないのでいったん心を落ち着けて次のディーラーへ。

次はプジョーへ向かってお目当ての206CCへ。この車は今回選んだオープンの中でも
ハードトップと言う現在の主流である幌ではなく、メタル(FRP)部分をトランクに格納
する現代的なオープンカーで、その流れの一つなったモデルである。

0_CAGCD3RA.jpg
207CCが出た今見てみると当時よりずんぐりとした印象も。プジョーはちょっと顔つきが
精悍すぎてロゴはイカしてるけどデザインは自分の思いと違うみたい。


コンパクトでスタイリッシュなそのデザインは確かにクールだし、ハードトップの仕組みも
さることながら、セキュリティ的にも幌のソフトトップより安心感があるかなと思ったが、
まず、後席部分が全く人が乗れる代物ではないことがマイナスだったのと
(この時点では全く4シーターにこだわりは無かったが、席があるのに使えないのは勿体無い)
そもそもディーラーの店員態度が最低で、おフランスのメーカーですよ的な感じで
金の無い若造には用は無いみたいな、売る側が客を選ぶような雰囲気に満ちていたので
腹が立って途中で店を出てしまった。何処の店舗か書いてやろうかと思ったが、
まぁ既に5年も前なので今回はここまでにしておくが。

と言う訳でいけすかない店員のせいでプジョーは早々と脱落。
まぁ小さすぎるし、2シーターでもバンドはやるのでトランク的なスペース感は欲しかった。

こうなると堅実で質の高いVWの店員と、フランスに被れて都心ならいつでも売れるみたいな
怠慢でいるプジョーで両極端を経験したので、この時点ではニュービートルが最有力に。

この頃僕と会っていた人間は僕がやたらとニュービートルが
欲しいと言っていたのを耳にしていたと思う。

そして満を持してMINIへ、当時近かった品川の東邦モータース
(のちにプジョー以上にひどい目にあうが・・・)に。

何だろう、じっくり見るとやっぱりMINIが一番親しみやすいというか、
やっぱり見慣れた人がいるとほっとするというか、そんな感じがした。
そこにクラシックMINIには無い先進が詰まっているのだから。
インテリアも外観もやっぱり今の車の何処にもない佇まいだし。

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勿論自前で。内装のベージュにはこだわって、おかげで納車3ヵ月半待ちだった。

当初BMWがリメイクしたニューMINIが出たとき、昔のMINIが丸く大きくなって
太ってしまったかのようなデザインがどうも好きになれず、興味を惹かれなかった。
でもそれは保守派の懐疑的な考えと言うやつで、実際のニューMINIは現在の車事情に
適合させながらもMINIらしさをちゃんと残した優秀な現代車であった。

裏を返せば「丸みを帯びて現代の安全基準に合わせて大きくなった」以外は思った以上に
先代のMINIそのままのデザイン(反転ルーフや丸灯、クラシカルなグリル、センターメーター)
である事は、時代の変化を考えれば良くこなしているし、大事なところをちゃんと
残していることには感心させられることも多かった。

内外装のカスタマイズの種類が半端ではなく、これは今でも他車を寄せ付けない。
乗り心地はクーパー以上だと、びっくりするほどスポーティだった。
スタビライザーも標準装備だし、このあたりでようやっと走りの違いがわかってきた。
古い世代のゴルフをベースに何の工夫も無いエンジンを載せていたビートルとは
走りの遊び心には大きな違いがあることを確認した。

後ろはシートや頭上高がサイズを考えれば頑張ってるのに足がどうにも狭いなと
思ったけど、当時は荷物が置ければ良いなくらいだったので。ハッチバックでありながら
性能も重視の車なのがニューMINIで、それも何処かクラシックMINI譲りなのかもしれない。
でも、BMWの構成能力は凄いなと思わされた。乗り心地は小さくてもドイツ車そのもので。

ここでMINIを見てしまったので、後は非常に不利になるのだが、マツダへも行った。
外車ばかり見ているのも視点が偏るので少しバランスもとりたかったし、
マツダのロードスターはMGなどのライトウェイトを参考に日本が仕上げた優秀な
オープン・スポーツカーと言う認識が有ったため、ちょうど最新モデルが出たことも
相まって見に行ってみようと思い立った。

今回Z4などを除けば唯一の純粋な2シーターで、広さなどは全く望めないのはわかった上で。
実際内装は思ったよりずっとラグジュアリーで、本革のシートやスペースが無いので
気の利いた収納類など、日本車ならではの機能美を感じたりもした。ひとつ思ったのが
初代くらいの頃、ユーノス・ロードスターで見たようなお手軽なオープン・スポーツ
と言うよりは、完全に贅沢で高級感のある仕様に様変わりしたような気がした。

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ロードスターなら断然ソフトトップが好き。ホワイトにタンカラーで上品に。
こうして見てみると性能云々よりも見た目的にロードスターはツボに近かったのかと思う。


実際ボディも大きくなり3ナンバーになったし、エンジンも2000ccだから、今回見た
他のどの車よりもエンジンは大きかった。実際その走行性能もライトウェイトな車体と
相まって非常に高く、その辺は分厚くて身重なドイツ車とは一線を画する感じで
N/Aでも全くストレスを感じないような仕上がりだった。何となくS2000辺りも
ライバルなのではないかと思ってしまった。N/Aのエンジンを良く回して楽しむような、
車本来の非エコで純粋なスポーツカーの楽しみ方。

しかしながら、トランクも小さくてギターも積めない車一台で通すには無理があるし、
やっぱり、何だろう、僕とは何だかうまくイメージが合わない感じがした。
観念的な意味でモダニズムがマツダの車には無いのである。

こうして興味本位を含めたリサーチを終えて、では実際に自分が乗りたいならと考えた時、
ニューMINIがクラシックMINIと異なり、現代の近いレベルの車種と見比べても遜色が無い
どころか、部分によっては最先端であったり、勝っていたりする事が良く分かった。

で、やっぱり自分はモッドだから、MINIが一番ほっとしてしまうのである。
実質同車種の乗り換えと言っても、今までとはアーキテクト全てが全く異なるものだから
純粋な別車種に乗り換えるくらいの新鮮さも有ったわけだし。

まぁ今のMINIは有る意味モッドでもなんでもない良い意味での大衆車なんだけど、
後は乗る人次第だから、車のイメージというものは。

・・・5年前の記憶を辿ってみたがやっぱり初めての大きな買い物だったので
良く覚えているものである。では何で今更5年前の話をという事になるのだが、
それは今回MINIを売ることになったからである。5年と言うのは車の節目の一つで
中古市場に出回る場合、価値が残るか否かの一つの分岐点になる。
勿論MINIコンバーチブルはある意味希少車なので簡単にゼロ円にはならないはずだが、
お釣りが有難い額で戻るのはこの年数が限度だと言われている。

個人的には乗り潰すこともこないだまで考えていたが、見積もりの額が予想以上に
良かったことや、僕も家族的な事を考えると子供などは居ないまでも、もう一回りくらい
大きな車があれば練習なり旅行なりでより快適だなと考えるようになっていたのも事実で。

今まで時折登場しつつも余り直接的に自分のMINIについて書いたことが無かったので
今回は惜別の念も込めてもう少し親馬鹿、車馬鹿路線で。

次回は現在見ている車なんかの話。今回は結構ぶれまくりの状態が現状。
MINIも再度候補には存在しているが、どうなるだろう。

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