ジャガーXEに至る経緯と英国車史の背景 -その1-

自己紹介で書いたとおり、それなりの台数のクルマ、それも基本的に外車(欧州車)を乗り継いでるわけだけど、このブログにおける当面の主題となる「ジャガーXE」をチョイスした理由について少し(と書いておきながら長くなりそう)。

因みに直前に乗っていたクルマはBMWの320dツーリングというドイツ車の王道、ジュニアエグゼクティブ(日本ではヤンエグとも言うのかもしれないが)の登竜門的なモデルと言って良いかもしれない。中間管理職のアイドル御三家ね(メルセデスCクラス、アウディA4、BMW3シリーズ)。
最も、このアイドルたちも近年はSUVやミニバンに押され気味では有るが。

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長らくリア充的承認欲求を叶えたい層に応えてきた良い意味で「普通のドイツ車」であるジャーマン御三家
(メルセデス・ベンツ Cクラス、アウディA4、BMW 3シリーズ)


そのような素晴らしい車に背伸びして乗っていたので、動機は性能、質感的な云々とは異なる所が大きい。それ以前がR世代のミニだったことも有り、特にテクノロジー(iDrive、プリクラッシュセーフティ)には大きな差が有ったし(BMWに乗って、やはり現在のミニが走りやデザインはともかく、BMWのエントリーなのだなとも思い知った)、F世代になって、スポーティさだけではなく、(日常使いの出来る)ラグジュアリーさ、環境性能も上げてきた3シリーズというのは実に完成度の高いクルマなのである。

そんなレベルの高い争いが長く続くDセグメントに争いを挑むメーカーが増えてきた。特に近年奮闘が目立つのがボルボV60、S60だろう。恐らく日本で御三家に続くのはスタイル(ワゴンとセダンを用意)、スペック(ディーゼルやハイパフォーマンスモデル)、価格帯(やや御三家より手頃な傾向、オプションにもよる)、売上を勘案してもボルボだろう。

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中国の資本、スウェーデンのプロダクト、テクノロジーには日本のデンソーらも参画しているボルボ。

他にもフレンチ系のプジョー508やイタリア系のアルファロメオ・ジュリア、VWパサート(最近アルテオンというとんがった4ドアクーペもVWから誕生!)、日本からもレクサスIS、マツダ・アテンザなど価格帯からスタイルまで百花繚乱(この言葉多用しているけど)かつレベルの高い戦いはSUVブームの昨今でも続いてる。

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ジャガーXE以上にセクシーなイタリアン・4ドアクーペ、アルファロメオ・ジュリア

その中のイギリス代表がジャガーXEと言って良いかと。インド代表なのかもしれないが。

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ジャガーXE 出た頃はジャガーというイメージも手伝ってかなりとんがったデザインにも思えたが(イタリア車的にも見えた)、ジュリア辺りと比べると、やはりイギリス車的というか、グリル周辺にクラシックな風情も残してるのが見て取れる。

ちょっと話が広がったので一度戻るが、そういう意味でジャガーXEは久々に欧州市場の主戦場で勝負を挑んだジャガーのチャレンジと言っても良いと思うし、直前に乗っていたBMW3シリーズとはライバル関係に有ると言える。残念ながら日本で人気のあるワゴンの設定がXEには無いのでニッチでは有るのだが。
(一つ上のXFには"スポーツブレイク"というワゴンが最近登場した)。

実際スペックもサイズも近い3シリーズとXE、どうして乗り換えようかと思ったかという動機で大きいのは、結果から言うと以下のようなもの。

・ミニばかり乗っているように、イギリス贔屓では有るのでやっぱり英国車と呼ばれる物に乗りたかった

・最初拒絶反応が出たイアン・カラムのデザインに慣れてくると、美しくムダの少ないクーペスタイルに惹かれていった

・子供の頃XJ-Sに憧れ、いつか乗りたいと思いつつそれは叶わなかったので、ジャガー自体に憧れは持っていた。そんな中、Dセグという届きそうなラインにまとも?なモデルが出た

・近年のジャガー・ランドローバーのクルマとしての評判が高くなり、実際データでもドイツ車に比肩し得るレベルまで達してきているので、故障と隣り合わせで恐る恐る乗るような英国車の時代ではなさそうだと思った

・クラシック・ミニ以来の純粋な英国車に乗ってみたかった


ざっと挙げるとこんな感じかな。要するにBMW自体に不満は無かったのだが、それに近いスペックで英国車に乗れるジャガーに大きな魅力を持った訳。そもそも、BMW以前に乗っていたミニのデザインは大好きで、そういう意味で乗り換えたいとは思ってなかったのだが、家族などを乗せるには手狭だったり(自分は旧クラブマンだった)、価格の割にテクノロジーの面で旧世代的だったり(特にR世代ミニの話)と、BMWのチョイスは現実的な部分が多かったのも事実である。

それに、ミニはBMW傘下なので、ワンサイズ上のクルマが欲しいとなると、必然的にBMWをセールスされるのである。

後は子供の頃からの憧れ、かな。有難いことに小さい頃から外車、国産車問わずカーキチの父親と、そのカーキチ仲間たちに囲まれて育ったので、本当にクルマが好きだった。小学校3~4年生の頃には、シティターボブルドッグだの所謂ハチロクトレノだのジムニーだのポルシェ911カレラだのキャデラックセビルだの本当に色んな車に乗せてもらった、その原風景が確実に今の車好きに繋がっている。

でも、ちゃんと子供の頃からアイデンティティは有ったようで、最初に憧れたのがミニとシトロエン2CV。この時点の方がエンスーなんじゃないかと思うよ(笑)。

80年代ってクルマにとって過渡期で、最新のテクノロジー、スペック競争も加速度的に凄くなっていく一方で、クラシックと言われるクルマも結構併売してたんだよね。それが2CVとかミニなわけ。2CVはショールームに行って、窓の開き方やトタンみたいなボディとか、エアコンは付かないと営業のお兄さんに言われたりして、当時のクルマと比較しても違うあまりのポンコツ(失礼)っぷりに感動して欲しくって仕方なかったものである。

そんなミニとか2CVのような愛すべきポンコツを若い頃は乗って、いつかはジャガーのXJ-Sに乗りたい!ってのが子供の頃の僕の夢だった。特にジャガーはまわりのカーキチにも乗っている人が居なかったのでXJやXJ-Sへの情景って広がっていったのかもしれない。

後は英国文化への憧れも同じ頃から高まっていたのもある。それはビートルズ。これも団塊世代の親の影響なのだが、小学校中学年頃からビートルズを聴き始め一気に音楽やカルチャーに傾倒していくので、そういう意味でも英国車ってのは相乗効果で憧れたってのは有るのかもしれない。

最後に書いた「純粋な英国車」は異論も有ると思う。また別の回で取り上げるがそもそも純粋な英国車なんてほぼ皆無と言って良いのだ。もうとっくに英国本体での自動車産業は斜陽を過ぎている。要するにドイツやフランスや日本には勝てなかったのだ。

だから、BMWミニがデザインを除けば基本的にドイツ車だと言うことは百も承知だしだからこそ安心して乗ることが出来るしスペックも優秀だったと言えるのだ。
(イギリスデザインのドイツ車って所が凄い調子が良いクルマなので、だからこそ広く売れた)

ジャガーもその経営が紆余曲折経てることはある程度車好きなら知られたことで比較的近年の話で言えば、フォード傘下になってから段々と先細っていくのである。それはXタイプ、Sタイプのような「着せ替えパイクカー」のような失敗で拍車をかける。

そんな中で個人的に衝撃だったのはインドのタタ・モーターズの買収である。この時僕は「ジャガーは終わった」と思ったクチである。この頃タタと言えば「ナノ」という、10万ルピー(当時のレートでも30万円以下)のクルマを発表して話題をさらった時代である。

そういう企業努力がいけないなんて全く思わないし、インドのクルマ事情を勘案すればそういうクルマも必要なことは良く分かるのだが(インドは行ったことがある)、いつだってラグジュアリーである意味敷居の高さも持っているジャガーがそういう会社に買われてしまったら、絶対駄目だろうと思っていた。また、やはりまだまだインドの自動車技術は日本車やドイツ車のようなレベルとは異なる。

そんな中でジャガーへの興味も失っていたし、そもそもXEだのF-Paceだのが出る前のジャガーは再建期とも言え、XJとかXFみたいな本当に富裕層向けのクルマしか無かったし(BMWが7シリーズと5シリーズしか売ってないと想像してみてください、メルセデスがSクラスとEクラスしか売ってないという想像でも良いかと)、先述の通り、イアン・カラムデザインのXFが最初に出た時「なにこれ、最悪、取り敢えずジャガーを返せ」としか当時は思わなかったのである。なまじXJがスタイルだけは40年近く変えなかったのでユーザ側も凝り固まったんだと思う。

その2へ続く

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